天使も踏むを恐れるところ

読書とか映画とかの読書感想文置き場

最高の音楽体験をしたので書き残しておく

ここ数日職場の感染管理の関係で一時的に自宅で蟄居させられている

俄然ネットを見る時間が増えてくるわけだが、twitterをフラフラ巡回しているとオッというライブ動画があり元動画をyoutubeで探してきたのがこれだ

 


Lido performing I Love You w/KORK

 

聴いた瞬間に涙が滂沱として流れ下り全身に鳥肌が立ち終わった後しばらく放心状態だった

落ち着いた後何度か聴き直したがその度に涙が溢れて心の底から揺さぶられる

なんちゅうパフォーマンスなんだ本当に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

少し落ち着いたので個人的な解釈を書き連ねていこうかと思う

久々に音楽で心の底から感動したのでしっかり文字起こしした方がいいなって気持ちになった

 

まず比較のために元曲を貼ろう


Lido - I Love You

 

 

6年前の曲でジャンルとしてはbro stepなんじゃないかなとは思うがfuture bassとか色々な要素があってなかなか定義しにくいところではあると思う、あんまり意味ないし

これ自体も何層にも小出しで重ねられていく音像がサビを軸に収束していく名曲だと思う

 

んで、当初の動画は2015年にパリ?で行ったライブ映像のようだ

曲自体は同じものだが、オーケストラ(指揮者込み)をサポートにつけて演奏したため全く別の音楽になっていると感じた

 

まず導入だが、メロディの入り自体は同一の入りをしつつ背景にストリングスが入ることで緊迫感のある立ち上がりから始まり13秒で1回目のサビがくる

この時点では迫力こそ感じるもののまだ聴衆の耳が慣れていないこともあり、オーケストレーションの重層感があまり満足に感じられるとは言い難いかもしれない

ただ合間に挟まれるハープの音色やシンセの音より長く余韻を残す金管の効果も相まって原曲より深い風味を残す仕上げになっているとは思われる

 

第一のサビが終わるとピアノの音を挟んでAメロに入る

軽快なシンセの音をメインにしながら、オーボエの音が確かな存在感を残しながら展開を奥に広げていくのが耳に心地よく感じられる、フルートの音が余韻同士を軽やかにつなぎ次のメロディーへの展開も非常にスムーズだなという感想も抱いた

1:15のところでトランペットが参入してくる

テンポとキレの良いアタックの強い音色が主旋律に挟まるのは心地よく、Lido自身も身体を動かして拍子を取っているのが見てわかる

また、ここで金管の主張の強い音を入れておくことで聴衆にシンセの裏にあるオーケストラのそれぞれのサウンドを強く意識させる効果もあるなと個人的には感じた

エレクトロらしいBメロを経てここから2回目のサビに一気に流れ込む

 

2回目のサビはおそらく意図的に背景のオーケストラの音が大きく強調されており、先ほど存在感のあったトランペットが十分にアピールしながら展開する

もう一つ特徴的なのがストリングスの荒々しくも流麗な旋律がはっきりと強調されていることで、1回目のサビと比較しても迫力と余韻が強烈に増強されている

Lido自身の歌唱にも熱が入っておりまずここが第一の山だというのがはっきりとわかる

 

この次の2分の部分だがここのアレンジが本当に天才で、原曲だとシンセの単音を重ねる形だったのがストリングスのピチカートになっていて残響感が増しており、そこに跳ね回るようなフルートの旋律が絡むことで軽快なエレクトロベースに更なる有機的な躍動感を付与している

遠景に聴こえるトランペットとアクセントとして差し込まれるクラリネットの音を交えてBメロから3回目、最後のサビへと全体が渾然一体となり高まっていく

 

3回目のサビは2回目よりも更にオーケストラ部分が迫力を増し、高らかなる金管楽器、疾風のようなストリングス、余韻をしっかり拾うハープ、そして確かな重厚感を与える木管楽器がピアノ主体で紡がれる主旋律を鮮やかに彩る凄まじい仕上がりになっている

聴衆の耳がオーケストラのそれぞれの音に十分に馴染んだ事もあり、ひとつひとつの楽器の音と印象をこの時点でははっきりと聞き取ることができる

シンセだけではどうしても難しかった空間的・多層的に広がる音が奔流となって耳に叩きつけられる様は本当に圧巻で聴いているだけでとめどなく落涙しそうになる

Lidoが歌い上げるこの最高のサビを経て、楽曲は更に展開していく

 

3:17で高らかなトランペット共にLidoの手を離れてオーケストラ単体で飛躍するのだ

マジでこのアレンジ考えたやつ頭おかしい、どうなってんだこれ

飛翔するストリングスを最終サビからアピールを増してきた木管楽器がしっかりとサポートし、確実に天空まで昇りつめる音像が強烈に展開されていく

金管楽器が要所要所に挟まれる事で緩急も心地よく耳に流れ込んでくる

昇り詰めた後はゆっくりゆっくりと楽曲は効果の方向に向かう

Lidoのベルベットのような歌唱とともに下降に転じたストリングスを金管楽器が優しく支え、木管楽器がしっかりと足元を固めるように音を刻んでいく

ヴォコーダーを効かせた歌唱が左右に反響するように聴こえるのも下に向かう空間的広がりを柔らかく意識させる素晴らしいアレンジだと思う

 

ここで個人的に想起したのが菅野よう子のオーケストラ楽曲

この曲はちょっと違うかもしれないが参考まで、要は曲単体で物語性をもって展開して収束することを第一義に置いたサントラの為のオーケストレーションという感じ

ターンAの曲の方がそれっぽいかもしれない

オーケストラの音が順々に積み重なっていくビッグバンド的な音の快感から最後のサビを経て明確に曲の物語性を意識する快感へと変わる瞬間があり、ここに静かにボーカルが戻ってくることで余韻を残しつつ着地させていくのは見事だと思う

 


Escaflowne- Dance of Curse

神アニメなので観ましょう

 

んでこの楽曲、最後にもうひとネタ入れてくる

フルートで曲が閉まると、ヴォコーダーでエフェクト処理されたLidoの声が残り火のような情熱をしっとりと沈めていく

最近は完全にトラップに行ったdrakeとか、こういう歌い方は2016年くらいまで結構流行ったが、やはり直接想起されるのはおそらくオリジネーターのJames Blakeだろうか

極端に音数を減らしてヴォコーダーのかかった声だけで雰囲気を作るのはやはり強烈な存在感があり、あまりにエモいので指揮者も笑ってるくらい

 

こうして嵐のような5分30秒が終わった

正直生エレクトロってあんまり外れないんだけどこれはマジでアレンジの賜物というか化学反応して完全に別物に昇華された感じがある

拙い言葉で長々と書き綴ってしまったが、はじめて視聴した時の衝撃が誰かに伝わればと思う

最後になるが筆者は音楽は全くの素人でありエレクトロ用語やオーケストラ用語、音楽用語の間違いは平にご容赦願いたく思う